当社の顧問先にも、子育て中の方、介護が必要なご両親を抱え、仕事との両立をされている方が多数おられます。実は当社にも、最近産休から復帰した職員がおり、(なんと産後6週間経過後、医師の許可を経て復帰)まだ保育園の空きがないため、在宅勤務をしながら、実家の支援を得て勤務を続けています。時に、実家の支援が得られない日もあり、そんな日に在宅では難しい仕事がある場合は、子連れ出勤し、胸にだっこしながら仕事をしています。まだ夜中の授乳も必要な時期ですから、本人も体力的にきついと思いますが、とにかくがんばっている姿を見ると、ガッツがあるなと感心します。私自身は、子供が1歳になるまで育児休業を取得し、ゆっくり子供と向き合うことができましたが、復帰の際、仕事の感覚を取り戻すのが大変だった記憶があります。そんな実体験も踏まえ、今では、丸々1年間ブランクを作ってしまうより、短時間勤務でもよいので、早く復帰し、ブランクを作らないことが大切だと感じています。当社の職員の場合、何よりもほんのわずかな期間、不在にしただけでしたので、復帰後の顧客対応も全く問題なく、スムーズに職場復帰ができました。考え方は人それぞれですが、育児・介護中の方の両立支援のためには、周りの職員の理解と優しさが欠かせません。特にこれからは育児よりも介護と向き合わなければならない方の方が多いと思われます。介護は誰しも避けては通れない道であり、育児のように時期や終わりが見えず、また突然介護が必要な状態になることも多いものです。まずは、介護が必要な状態になったことを想定し、様々なシミュレーションをし、また国の支援制度や職場のルールなどを就業規則(育児・介護休業規程)であらかじめ確認しておくことが大切です。当社では、育児・介護セミナーや労働者の方への個別の説明やご相談も承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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オンラインセミナーのお知らせ
私が所属しております、千葉県社会保険労務士会船橋支部では、11月30日に、オンラインによるセミナーを開催します。テーマは「Withコロナ時代 企業の生き残り戦略を学ぶセミナー」です。コロナ禍において、労務管理の考え方も激変しました。しかしこのような中でも、企業経営をしていかなくてはなりません。本セミナーでは、コロナ禍における労務管理の考え方、人件費の削減、雇用調整等をお考えの事業主様にも参加いただける内容となっております。皆様の参加をお持ちしています。
https://www.city.funabashi.lg.jp/enquete/syaroushisemina.html
最高裁判決追加2件(同一労働同一賃金)
令和2年10月15日、13日の2件の判決に引き続き、同一労働同一賃金をめぐる2件の最高裁判決が言い渡されました。今朝の朝刊の1面を飾っていましたね。13日の2件の判決は、原告側逆転敗訴という、厳しい内容でしたが、15日の日本郵便の3件の判決は、全面勝利というもので、非正規労働者の方にとっても納得のいくものだったと思いますが、今後、非正規労働者と正規労働者の格差の是正を検討する企業に大きく影響を与えることになりそうです。昨日2件の最高裁判決の全文を読みました。テレビや新聞などでは、要点のみしか表にでてこないのですが、全文を読むと、本訴訟の背景や置かれていた原告の立場等がよくわかります。先の2件の判決では、裁判官の判断も「不合理もある」としながら最終判決は「不合理とまではいえない」と締めくくっており、仮に自身が原告の立場だとすると、期待をさせ、その後突き落とすという大変厳しい内容でした。また昨日の判決内容を見ると、支給する手当の本質を明確にし、その上で正規社員にのみ手当が支払われている場合は、それが不合理でないかどうかを1つずつ見ていく必要があります。来年4月までにあらためて非正規社員の賃金体系について見直すことになります。
注目の最高裁判決が出ました(同一労働同一賃金)
政府が導入を進める「同一労働同一賃金」制度は、正規労働者と非正規労働者の待遇格差の違いをどこまで認容するのかあいまいなところが多く、制度設計をどのように進めていくか、苦慮されている企業が多いのですが、昨日、この件に関する2件の最高裁判決が出ました。パート労働者、アルバイト労働者に対するボーナスと退職金支給に関する判決で、いずれも非正規労働者に支払いをしないことを「不合理とまでは言えない」と原告側の逆転敗訴となりました。
今年4月1日、まず大企業において法施行がなされ、今回初めての最高裁判決であったため、様々な企業がこの判決の行方を注視していました。特に正社員と契約社員・パート社員との待遇格差が存在する企業では、今後の制度設計に大きく影響するため、特に注目が高かったと思います。実は明日15日にも別の最高裁判決が控えておりますので、コメントは後日述べたいと思います。
日本の裁判制度は3審制であることは皆さんご存知だと思いますが、地裁・高裁が事実審であるのに対し、最高裁は法律審で審理が進められます。つまり最高裁では事実認定は行わず、法律をどう当てはめるかを判断するため、通常口頭弁論は開かれず、判決が言い渡されることが多いのですが、今回は口頭弁論が開かれました。このようなケースの場合は、高裁の判決が変更、あるいは覆ることも多く、今回はある意味、高裁の判決が変更される可能性を示唆していました。通常、高裁の判決に不服な場合、必ず最高裁に上告できるわけではなく、上告理由が必要になります。すなわち、憲法違反の恐れがある、これまでの判例を変更する可能性があるなどの事由が必要なため、最高裁まで争うケースは、実はそんなに多いわけではありません。今回は最高裁まで争うこととなった背景には、本問題において、法の解釈の在り方、適用について困難であったため、最高裁まで裁判が継続されたといえます。 非正規の労働者にとっては納得し難い判決と言えますが、多くの経営者は胸を撫で下ろしたというのが本音ではないでしょうか?ただ、今回の判決は今後もリーディングケースになるわけではなく、案件によっては、違法性があることを指摘しています。今後、個別具体的に支給される手当や賞与、退職金等の意味合いや趣旨等を検討し、整理を進めていく必要があります。