◆ うつ病治療に初の指針(ガイドライン)
精神疾患による労災申請・認定件数が過去最高となるなど、うつ病を主とする精神疾患は労務管理上の今日的課題の1つとなっていますが、このほど、日本うつ病学会では、医師向けのうつ病治療に関するガイドラインをまとめました。
うつ病の診断・治療について、医師の間でも安易な薬物治療や誤診などが問題となっているようです。
◆ 「新型うつ病」は対象外
ただ、今回のガイドラインでは、いわゆる「新型うつ病」は対象外とされています。新型うつ病については、精神医学的に深く考察された用語ではなく、医学的知見の明確な裏打ちがないというのが理由だそうです。
会社としては、うつ病だと思われても他の疾患(躁うつ病、不安障害、発達障害など)であったり、新型うつ病と思われるけれどもはっきりしなかったりするような場合は対処が難しいものです。
疾患としての確定的な判断は、医師による診断を待つより他ありません。社員本人の快復のためになる医師を探すのは難しいと言いますが、社員の状態を的確に判断してくれる、時には社員の嘘を見抜いてくれる会社側の医師・産業医を探すのはさらに大変です。
◆ 産業医の照会サービス
そうした悩みを持つ会社のために、うつ病の予防、休職・復職の判定などができる医師・産業医を紹介してくれるサービスがあるそうです。
精神科や心療内科を専門とする産業医は少ないのが現状ですが、こうしたサービスを利用することで、会社が依頼している産業医やかかりつけ医が精神疾患等の診断に精通していないような場合でも、会社として適切な対応をすることが可能になるかもしれません。
◆ 日頃の労務管理が重要
ただ、忘れてはならないのは、メンタルヘルス不調社員や休職者への対応については、休職・復職時の対応も重要ですが、そうした状態に陥らせないための日頃の労働時間管理・職場環境の改善がさらに重要だということです。それは、会社にとってのリスクやコストを考えた場合にも、結果的には効果のある方法です。
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