労務アドバイス vol.097
2024年10月から従業員規模51人以上で社会保険への加入が義務に (2024.11.18)
2024年10月より、その従業員規模51名以上(同一法人番号に所属する厚生年金加入者)の会社は、下記の要件を満たした従業員について、社会保険への加入が義務となりました。
・1週あたり20時間以上の勤務(1カ月87時間以上)
・2カ月を超えて雇用契約を締結している
・月例給与(通勤費、残業代などを除く)が88,000円以上
・学生ではない
上記要件をすべて満たした場合に、社会保険への加入が必須となりました。
なお、従業員規模51人以上については、厚生年金加入者の人数で見ますので、全体の従業員が51人以上だとしても、保険未加入者を除くと、51人未満である場合は、適用になりません。また、現在50名前後の厚生年金の加入者がいる場合も、51人に達したから、直ちに適用になるわけではなく、51人に達した以後、常時51人以上が少なくとも6カ月以上継続する場合に、初めて適用となり、年金事務所から、該当事業所になる旨の案内が送られてきて、その後手続きを経て、該当事業所ということになります。
また、個別の加入要件については、上記加入要件に該当する従業員に、現在の勤務状況であれば、加入が必須となること、加入した場合の保険料と将来の年金受取額や、健康保険に加入することで、傷病手当金などが受け取れ、また産休、育休中の保険料が免除になるなど、メリットも説明し、その上で、従業員本人に今後の働き方について検討させ、加入するしないを決定していくことになります。ただ、加入しない場合は、労働時間を減らすという結果となり、その分、別の従業員の負担が増えることも懸念事項として念頭においておかなければなりません。国としては、保険料を負担する被保険者を増やしたいという思惑がありますが、昨今の賃金アップの背景により、加入を希望しない場合は、労働時間が減少すること、また配偶者が勤務先より家族手当の支給を受けている場合は、保険に加入すると家族手当が支給停止になることから、保険加入はしないという選択をしている方が多いという現実もあります。使用者としては、加入の選択により、社会保険料などの固定費の負担が増えますが、安定的な労働力を確保することができるというメリットもあります。