労務アドバイス vol.084
年収の壁問題について (2023.10.18)
パート従業員を多く抱えるスーパーなどでは、従業員が年収の壁を気にして、労働時間を減らすことによる人材不足への懸念が高まっています。最低賃金は毎年10月に改定後の金額が適用されますが、令和5年度は過去最高の上げ幅となりました。千葉県でいうと令和4年度の最低賃金は984円、これが今年10/1より42円アップの1,026円となります。このことは歓迎すべきことですが、年収の壁を気にする方にとってみれば、これまでと同様の収入とするために、就労時間を減らして調整するということになります。特に年末にかけて、就労調整をする方が多く、企業としては、年末の繁忙期に思うようにパートさんのシフトが組めないなどが問題となっています。政府も年収の壁を超えて働き、社会保険を自身で負担するようになった結果、手取りが下がってしまうことに対する支援策を 検討しているようです。個人的には、この対応は、サラリーマンに扶養される配 偶者に限ったものであり、逆に自営業者の配偶者にはそのような対応はないため、不公平な制度ではないかと疑問を持ちます。本来は、収入の多寡にかかわらず、全員がその収入に応じた保険料を負担するようなしくみができればよいと思います。また政府の支援策などが明らかになりましたらご案内をしたいと思います。