労務アドバイス vol.055
給与デジタル払いの検討 (2021.05.19)
4月19日、厚生労働省は給与のデジタル払いに関する制度案を労働政策審議会に提示しました。給与のデジタル払いについては、コロナ禍以前より審議されていました。当初は、銀行での新規口座開設が困難な外国人労働者に配慮した内容でしたが、マイナンバカードの普及とともに、キャッシュレスの動きが拡大してきたこと、また今回のコロナの影響を受け、インターネットによる注文とクレジットカード等の電子決済が急速に増えたことを受け、いよいよ本腰を入れ検討することに至ったようです。ただ、まだまだ課題が多いと思われます。例えば、デジタル払いにした場合の金額の上限額の設定の問題、決済を行う事業者が、破綻した場合の保全の問題、現金化する場合の手数料の問題、不正送金が行われた場合の補償の問題など超えなければならないハードルがいくつかあります。また当然ながら、労働基準法の改正も必要となってきます。これから検討を重ね、法改正を経て施行までには何年かかかるでしょうが、時代の流れとともに、大きな変革となることは間違いありません。